Mission4:失礼こいたバツなのです!

 ……
 〜♪ 〜〜♪
 (……うーむ、常日頃気になっていたんだが……あの耳は一体?)

 のんきに鼻歌歌いながら皿洗いをしているぐらたん。新聞から目を離せば

 (……なんか、心なしか動いてないか?)

 メモリに残された映像を確認。……確かにちょっとだけだが動いている。

 (……半人半獣の生物など聞いたことがない。しかし、あれは一体?)

 考えうる幾つかの結論。
 1.おもちゃ→一番有り得るような気がする。
 2・本当に半人半獣→となると、もしやどこからか逃げ出した実験体か? なんとも物騒な話だが。
 3.……地毛?→いや、さすがにそれは……ない、と思うんだが。

 ……うーむ、1が妥当な線か。童顔だし、恐らくまだおもちゃで遊ぶような年齢なのだろう。
 とりあえず気になるので確認。共同生活をするものにとって、円滑な関係を気づくための正統行為だとCPUが弾き出す。

 ……(ガシャコガシャコ)
 〜♪ ……ほや? 宇部さんどうしたので――
 てい。

 ムギュッ。

 はきゃっ!? な、なんなのです一体!?
 ……(色んな方向に引っ張ってみる)
 イタタ! 痛いですよ〜!
 ……もしや、地毛?
 当たり前に決まってるのですよ〜。いたたた……。

 耳、じゃなくて地毛を押さえてうずくまるぐらたん。

 (まさか、大穴の3番があたりだとは……しかし、どういう構造してるんだこいつの毛?)
 うーむ……てっきりおもちゃでもつけてるのかと思ったんだが。地毛だったとはな。
 おもちゃって……この年になってまでさすがにそんなのつけないのですよ。
 年? 年齢にしてはまぁ多少過ぎてる感じはするが、十分許容範囲内じゃないのか?
 ……宇部さん、私のこと何歳だと思ってるのですか?
 う……あ、いや……14、16歳か?
 私は二十歳なのですよ! ハ・タ・チ!!
 なっ……!? ウソをつけ!! どう見てもそんな大人には見えんぞ!!
 なんですかそれ! レディーに対して失礼なのですよ!!
 っと! うお!? こ、こら、鍋を振り回すな!! ……ぐおっ!

 見事にアゴ(?)にクリーンヒット。たまらず私は台所から逃げる。それも、バーニア駆使の高速移動で。

「あ、宇部さん待つのです! 逃げるななのです〜!!」

 逃げるなと言われて待つヤツが――
 うおっ!?

 後ろを向いて気づかなかったが、前方10cmに支柱発見。
 現在、速度20km/毎時。
 ということは。

ガシャドガアァ――――っ!!

 おおおおわあああああ――――っ!?

 ……前もこんなこと会ったような気がする。
 ちなみに、その後追いつかれたぐらたんに鍋で撲殺されかけたのは言うまでもない。

 失礼こいたバツなのです!

――Mission4:complete――