Mission1:君の名は

(ここ最近の話だが……そう……私はあの時、とある兵器製造会社から逃げ出した。何もかもが気に食わなくてな。だが、私はあの町で……)



 私は飛んでいた。飛翔というより、前進に近い。何故ならば、

 ちっ……まだ追ってくるか。少々派手に潰しすぎたな。ガードロボがわんさかと!
 ……
 鬱陶しい……鉛でも食らって大人しくしていろ!

 唸るマズルフラッシュ。私のライフルは、ガードロボを的確に破壊していく。だが、

 くっ……背部バーニア中破、各武器大破、バランサーにも異常。追手は潰したが……

 その時、だった。コンディションチェックに動作を割り当てすぎていたのが悪かったのか、それが、最大のミスを犯すことになった。

 !……前方20メートル先に生体反応だと!? まずい、このままでは……!
 え……?

 バーニアが中破したとはいえ、それまでの勢いは衰えない。まさしく、私は私の意義に忠実に……人を殺する、「弾丸」と化そうとしていた。
 だが、それは私の望むところではない。だから、

 ちぃ……ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!

 リミッターを解除し、危険域で高速の動作を行う。
 関節中から迸る悲鳴、火花、潤滑液。その代償を持って、強引に軌道を変更。
 その甲斐あってか、何とか人間に激突せずにすんだ。
 しかし、私の体は地面を抉り、また地面に抉られていた。

 っク……回避できたが、無茶な着地体制のおかげで全損……まず、い……

(普通なら……そう、普通なら、こんな訳の分からないぼろきれの様な機械なぞに興味は持たないだろう。それも、近づきなどはしない。だが、アイツは……)

 あ、あの……

(だが、よほどのおせっかいなのか、アイツは近づいてきた。あまつさえ、機械の私にこう、告げた。あの状態だ。もしかしたら、補助記憶装置の誤作動かもしれんが……よく覚えている、気がする。そう、アイツは私にこう告げたのだ)

 君の……名は?

――Mission1:complete――